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動機づけ面接(MI)とは

MIスピリット

MIのスピリットをまとめれば、

協 同: 患者とパートナーシップを結び,話し合いながら進む;交渉する
喚 起: 語るよりも聴く,教え込むよりも引き出す
受 容: 変化するかどうか,また いつどのように変化するかを決めるとき,
     患者の自律性や能力を尊重する
思いやり: 他者の幸福を優先することに価値をおく,患者の側に立つ

になる。

引きだす(Elicit) 変化するための動機づけは、クライアントから引きだされるものであり、それなしに、他から押し付けられるものではない。他の動機づけのアプローチは、強制や説得,構成的な直面化、そして行動契約のような外部的な随伴性の利用を強調している。このような戦略は、変化のきっかけを作る役割があるかもしれないが、動機づけ面接のスピリットとはまったく逆である。MIは行動の変化を刺激するために、クライアントの内在的な価値観と目標を見いだし、動かす。

 

矛盾を広げる(Develop discrepancy)

アンビバレンスを具体的に述べ、解消することはクライアントの課題であり、カウンセラーのものではない。アンビバレンスは二つ以上の選択肢の間に起こる葛藤である。選択肢のそれぞれにクライエントから見た利益と損失が伴っている。しばしば複雑で相互の矛盾があり、ほとんどのクライエントは高度にユニークな個人的葛藤を表現する機会がない。しばしば、このような葛藤は“酒が体に悪いとは分かっています。もし、ストレスがないのだったら、断酒しようと思います”のように、“もし”という条件付き意志として表現される。この場合、クライエントはストレス回避と、将来の病気の回避の二つの目標の間の葛藤を経験している。カウンセラーの課題は、このアンビバレンスの袋小路の両面を表現することを促進することであり、そして,変化への引き金になるような受け入れ可能な解消の方向にクライエントを導くことである。

論争を避ける (Avoid argument)

直接的な説得はアンビバレンスを解決するための有効な方法でない。それは変化することの利点と問題の緊急性についてクライエントを説得することで、“援助”しようということはカウンセラーにとって魅力的である。しかし、ほぼ間違いなく、これらの戦略は一般的にクライエントの抵抗を高め、変化がおこる確率を減らす。

寝技スタイルの受け身柔道

カウンセリングのスタイルは一般的に静かに引き出すようなものである。直接的な説得や積極的な直面化、論争は動機づけ面接とは概念的に正反対にあり、このアプローチでは明確に禁止される。直面化や助言を与えることに慣れているカウンセラーにとってはMIは一本を勝ちを狙うことを避け,時間を無駄遣いしている消極的なアプローチに見える。MIは受け身に徹し、細かくポイントを稼ぎ、そして最後に相手が自ら崩れていくのを待つ、寝業師的柔道のようなものである。

アドバイスやスキルトレーニング

クライエントがアンビバレンスを詳しく検討し,解決することに対してカウンセラーは指示的である。MIの戦略は、クライエントの自律に対する敬意を保った雰囲気の中でアンビバレンスを引き出し、明白にし、解決するように設計されている。アンビバレンスや決断の欠乏が変化を引き起こすために乗り越えるべき障害である、とMIは仮定しているからである。MI自体にはアドバイスは含まれていない。しかし,これらとMIは相容れないものではない。いったん障害を乗り越え,クライエントが自分の進むべき方向を決めたならば、アドバイスが必要になるだろう。

クライエントがエキスパート

治療関係は、パートナーシップや協力者関係のようであり、エキスパートと受益者の関係のようではない。治療者は自分自身の行動に関するクライアントの自立と、選択の自由、(そしてその結果も)を尊重する。

MIは練習すれば習得が可能なスキルであり、MIのスタイルに特徴的で訓練によって習得可能な治療者行動がある。